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shimano-tsuri
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イギリス・ロンドン近郊に在住。少ない晴天、少ない魚種にもめげず海釣りに勤しむ。日本では遠州灘、浜名湖、渥美半島をフィールドにキスの投げ釣りに。

2010年05月03日

2008年、2009年の冬、ロンドンは大雪に見舞われた。戦前は毎年積雪があり、テムズ川も凍るほど冷え込んでいたらしいが、戦後10cm以上の積雪を記録したのは実に十数年ぶりらしい。2008年は地下鉄の区間閉鎖や水道網の故障、物価上昇など、しばらく混乱が続き都市インフラの古さを世界に路傍してしまったが、昨年は予想以上に早く都市機能は回復した。度重なる大雪に政府が万全の災害対策を準備していたらしい。今度はイギリスの威信も保たれた。

魚辺に雪と書いて鱈と読む。日本では文字通り冬、雪の時期に多く獲れるというのが語源のようだ。イギリスでも冬が旬の魚である。犬の品種の一つ、ラブラドール・レトリーバーのレトリバーとは、水揚げでこぼれ落ちた鱈を回収(retrieve)する犬という意味らしい。イギリスの代表的料理でもあるフィッシュ&チップスも鱈がベース。またフリッター、フライ、フィッシュケーキ、シチュー、ソテーとあらゆる料理に幅広く利用されている。冬の沖釣り、投げ釣りでも人気のターゲットだ。

今でこそ料理の定番となった鱈だが、イギリスにとって鱈は遺恨を思い起こさせる魚でもある。
1960年頃、隣国アイスランドが領海拡大と鱈の経済資源を死守する政策を発表し、イギリスに条件承諾を迫った。これに端を発した両国間の紛争は、実に3次にわたり1976年頃まで続いた。一時イギリスは軍隊を出動させ強く反発。もはや国交断絶の危機かと緊迫したが、多くの重要航路下にアイスランドがあることや、NATOなど国際問題も絡み、イギリス側が大幅な屈辱的妥協をして事態は沈静したらしい。その結果、多くの漁民が職を失うなど経済損失を被ることになってしまったのである。今でこそフィッシュアンドチップスを鱈腹食べているが、背後にこうした駆け引きの歴史もあったと知ると味も複雑だ。

先月、今度はアイスランドから雪に代わって灰が迫ってきた。火山噴火の影響でイギリスは全土にわたり空港閉鎖を余儀なくされ、経済損失は10億ユーロ以上にもなってしまった。鱈問題が解決してから数十年、自然災害とはいえ、またしてもアイスランドに起因した事態に、政治家たちは再び焦燥感を味わうこととなった。今回は予想だにしない事件に、レトリバーする術すらなかったのだ。噴火が収まると、今度は隣国との領空管轄責任を巡って、政党間のなじりあいである。しかし・・地球の自然は人類共有の財産であり、一国の利害で占有も制御もできないと心得てほしいものである。イギリスは6日総選挙、結果が楽しみだ。

イギリスの鱈



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