商品のネーミング
イタリアの映画女優、ソフィアローレンをCMに起用し、『ラッタッタ』のフレーズで有名になったホンダの“ロードパル”。1976年に発売された、見るからに原動機付の自転車は女性でも取り回しが楽なことから爆発的なヒット商品となった。多くのママチャリ族が原付免許を取得し、街は歩道をも我が物顔で爆走するおばちゃん暴走族で溢れた。当時販売が低迷していた自転車屋は、ミニ・サイクルに代わり、この前籠付きバイクを積極的に軒先展示した。ホンダの原点回帰ともいえるこの商品は、新規顧客の創出と販路拡大で大きな成功を収めた。
近所の自転車屋も、空前のスクーターブームのおかげで相当潤ったらしく、たちまちモダンな店に変身した。しかし時代の趨勢に反し、店内は高級なブレーキレバー、変速機など本格的な自転車コンポーネンツを皇后しく展示していった。元競輪選手の店主だけに、きっとこんな店を夢見ていたのだろう。奥のショーケースには真っ赤なスエード地の上に自転車コンポーネントの最高峰、シマノ・デュラエースEX(72デュラ)が展示されていた。独創的なデザインとイメージ広告に魅せられ、私はカスタム自転車の世界に没頭してしまったのである。ZUNOW、スギノ、チネリ・・こう聞けば分る人には分る世界の話だ。
そんな時代もあり、シマノの製品には格別の思いがある。ギア=シマノなのだ。
釣りを本格的に始めてから、リールはほぼ全てシマノ社製。他社製品の使用経験もあるが、用は精神的にしっくりこないのである。イギリスでは日本製リールは少数派だが、偶にガラスショーケース上段に鎮座(価格が高いので)しているのを見ると、異国の地で高貴な旧友と会ったような気になる。ただここは海釣り人口の少ないイギリスである。ホンダ・ロードパルのような商品企画で海釣りファンと販路の拡大も期待したい。
今月の訪日を期にバス用ロッドを購入しようかと検索していると、シマノの“ディアルーナ”なる新製品ロッドが目にとまった。“ディアルーナ”と聞けば、“デュラエース”とイメージがロックオンされてしまい、その後他の製品に目が行かなくなってしまった。マーケティング的意図は全く無いだろうが、思い入れある商品名と近しいと、おのずと期待感が湧いてしまうものだ。商品のネーミングとは、どう心の琴線にふれさせるかが大事なファクターだと再認識した。もちろん、発音が似ていても、和田アキ子と矢田亜希子、阿藤 快と加藤あい・・・。のようにイメージが重ならない方がいいものもあるのだが。(笑)
http://fishing.shimano.co.jp/cat/detail.asp?k=100775
関連記事